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システム導入費用の予算化について 

システム導入費用を社内上申する際の担当者の心理は?

企業の業務・システム刷新のご支援をする中で、システム製品やシステム開発ベンダー様を選定し調達する局面において、実際のシステム構築費用(所謂、イニシャルコスト)を社内で予算化し、決裁いただく場面があります。 

このときの起案者の心理としては、社内決裁が下りるために、少しでも低い金額で上申し、無事に決裁を通したいという思いであることが大半でしょう。 

一方で、提案する側のシステム開発ベンダー様としては、発注側での決裁を通してもらいたいために、見積金額を下げられるところまで下げて提示することも少なくないと思われますが、とは言え、そこには開発サイドのバッファを積んでいることがほとんどです。 

このバッファの正体は、発注側から提示されたRFPから読み取った開発難易度やそれに基づいて算出した開発工数に加え、きっとそこまでには検出されていない要件やその対応工数分に充てるための予備開発費用なのです。 

バッファの積み方は、システム開発ベンダー様によっても、案件の交渉状況などによっても様々かと思いますが、概ねイニシャルコスト全体(要件定義~稼働までに係る費用)の10%程度を積んでいるのではないかと想像されます。 

この、発注側と提案側の互いのギリギリのラインで折り合った結果が、概ね、システム導入に着手する際に発注側の社内で決裁=予算化されるイニシャルコストの費用となることが非常に多いのではないかと思われます。 

リスクを加味した勇気ある予算取り 

さて、企業内でのシステム導入費用の予算化はこれでよいのでしょうか。 

答えは、概ねNoです。 

目安としては、その折り合いのついた金額(=システム開発ベンダー様からの提示額)に対して、20~30%の更なるバッファ(=リスク)を積んで予算化しておくことが望ましいと考えられます。 

勿論、企業様の状況によっては、先に予算額の上限を決め、その上限に達することが見込まれた場合は、予算遵守を優先してシステム要件を削り、開発費用を抑えるというアプローチをとるケースもありますが、そういった状況でないケースにおいては、上記バッファ額を積んで予算化しておくことが肝要となります。 

実際にシステム要件定義やその後の基本設計・開発・テストを行っていくと、各工程が完了したタイミングで、次工程以降システム稼働までの概算見積りを確定見積りへと更新されます。 

その過程で更新される見積金額は、システム要件定義前に提示されていたものよりも10~15%程度Up、多くて20%程度超Upの金額になることが一般的です。 

これは、当然と言えば当然で、RFP時点で業務ユーザーおよび我々コンサルタントが可能な限り業務要件を具体化・詳細化してシステム開発ベンダー様に伝えるものの、どうしても細かな業務パターンや要件の漏れがシステム要件定義や設計段階になって検出され、意外とそういったものがシステム的には開発工数増にインパクトし、それらが積み上がっていくようなことがあるからです。 

我々コンサルタントは上記を可能な限り極小化するように業務要件整理を行い、RFPを作成するわけですが、業務パターンや要件の漏れが発生し後々に検出されることを前提にして考えておく方が現実的ということになります。 

システム導入時に確保する予算にはそういったリスクバッファを加味し、提案サイドと折り合いをつけたイニシャルコストの総額+その総額の20~30%の予算をクライアントに積んでおいて頂くことが、システム導入プロジェクトにおける現実的なコストマネジメントに繋がります。 

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